質権とは <ソーシャルレンディング初心者にもわかりやすく解説>

ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)サービスを利用しようとした時「質権」という用語が良く出てきます。質権とは何か、どのようなリスクや意味があるのかを知っておくと資産運用のリスクを減らす事ができます。

質権とは

質権とは融資したお金の保証のため貸す側が借り手から動産や不動産を受け入れて占有し、契約通りに返済される事がない場合にはそこから優先的に返済させることができる権利のことです。

つまり、貸し手が借り手の資産に「質権」という担保設定のようなものをすると返済が滞った場合にその資産で返済を受けられる権利という事になります。

<動産とは>
お金・証券などの不動産以外の資産(財産)の事を言います。

 

ソーシャルレンディングでは投資家が出資したローンファンドが融資先に対して資産を質権設定する事でリスクを減らしている場合があります。その場合は投資家にしてみれば貸し倒れリスクが少ないので安心して投資を行えるようになります。ここでなぜ不動産でよく聞く抵当権ではなく「質権」をわざわざ使うのか?と思った方は鋭いです。以下で質権と抵当権について解説をしていきます。

 

質権と抵当権の違い

質権は抵当権と同じ目的をもっており(担保設定に利用される)混同しやすいですが、抵当権と質権の大きな違いは2点あります。

(1)抵当権は不動産にのみ設定できるのに対し、質権は動産にも設定できる

(2)抵当権は引き渡し(担保設定者が対象物を占有する)がないのに対し、質権は占有移転が必須

抵当権との違いである(1)動産にも設定できること、(2)占有の移転が必要であること、この2点が質権の最大の特徴でもあります。

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占有とはその資産を占有する事です。例えば不動産に質権を設定した場合その不動産を質権設定者は利用する事ができます。抵当権を設定している場合は抵当権設定者が使用する事はできません。動産についても同じで質権設定者は借り手から動産を渡してもらう(占有する)事になります。

このように占有をする事で抵当権にはない「心理的プレッシャー」のようなものが発生する事も質権の特徴です。ただし不動産などで質権を設定しても管理費がかかったり利息が質権では範囲外になってしまうので基本的には不動産は抵当権が設定される事も覚えておくと良いでしょう。

 

質権の例

ソーシャルレンディングでは様々な場面で質権の設定が行われます。ここではソーシャルレンディングでどのように質権が使われるのかを一例を挙げて解説します。

<ソーシャルレンディングでの例>A社(ソーシャルレンディング事業者)はB社(借り手)に融資を行います。そして貸金業者であるB社は不動産事業者C社へ融資を行います。

B社は不動産事業者C社に対する融資に際し、不動産事業者C社が所有する土地を担保として設定します。

B社は、担保物件である土地に対し第1順位の根抵当権を設定しますが、A社ではB社への融資に際し、上記根抵当権に質権を設定いたします

この例では根抵当権という権利に質権が設定されています。このようにB社が担保にした不動産に質権を設定する事でC社がB社に返済できなくなった場合にソーシャルレンディング事業者であるA社はB社を飛び越えて返済を受ける事ができるようになります。あくまで貸付はA社からB社ですが、資金返済はしっかりとA社が受けられるようにC社の不動産を(正確には権利を)質権によって担保にする事ができるのです。

 

質権とソーシャルレンディング

質権や抵当権等の担保権設定の話題はソーシャルレンディングの様々な形態の中でも借り手企業の審査を行い、ファンドを形成し投資家に提供する場合等に発生します。

今回のような質権は借り手にとっては低い金利等の有利な条件で調達できる可能性を意味しますし、貸し手(投資家・ソーシャルレンディング事業者)にとってはリスクを下げることを意味しています。

このように質権とは担保権の一種で、投資家から見れば貸し手のリスクヘッジなどのために行われます。抵当権との大きな違いは動産も対象としていることと占有が必須であることです。